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アプリ開発エンジニアの人材問題
アプリ開発プラットフォームについては前回の記事でMonacaをメインに開発し、要件によってはネイティブを使い分けるという方向で一旦まとめました。
しかし実際にチームを立ち上げて技術構築し、ビジネスとして組織を運営していくには人材が必要です。
現時点で私以外の社内メンバーはC言語しか使えない組み込み系専門エンジニアのみです。
社外から募集するのもOKと言われているのでこの前提で人材の確保と成長について考えてみます。
人材確保の課題を挙げてみる
人材の確保にはいくつか方法が考えられますが、それぞれ課題があります。
- 社内から人員を募る
- 新卒採用
- 中途採用
- 外部要員 (コンサル、派遣など)
社内から人員を募る
- 現在の業務をこなす必要があるので多くの人数を割り当てる事は難しい (多分1~2人程度)
- 教育コストが大きい (組み込み系のC言語しか知らない、オブジェクト指向を知らない)
現在の組織から人を抜くとなると業務の調整が難しいでしょうね。
しかし逆に言えば業務調整さえできれば人材は確保できそうです。
C言語しか知らないと習得に時間はかかりますが、やってもらうしかありませんね。
ここで1番重視するのはやる気と好奇心、チャレンジ精神です。
身も蓋もなく精神論で申し訳ありませんが、新たなチームを立ち上げるとなると絶対的に必要な要素です。
もし見つからなければ諦めたほうがいいかもしれません笑
新卒採用
- 学習コストが高い (1から全部)
- ソフト系に興味・適正のある人があんまり来ない
- そもそも採用の人数が少ない…
チーム立ち上げと技術構築という業務は新卒には重すぎるし、教育する体制も整っていないので不適格です。
過渡期~安定期に入ってからの参加がよいでしょう。
興味・適正のある人材に関しては早い段階から学校・学生に対してヒアリングなどを行ったり、給料を支払うタイプのインターンシップで対策できると思います。
最近ではインターンシップで給料を払う企業も増えていますし、特にIT系の企業ではその傾向が強いです。
LINEでは40万/月、DeNAは10万円/4日など大企業ではかなり太っ腹で、エンジニア志望の学生を囲い込もうとしています。
そこまで払えないとしても、従来の職業体験的な無償インターンシップでは無く、時給1,200円~のような有償インターンシップに切り替えて人を集めるべきだと思います。
中途採用
- スキルある人があまり応募してくれない
- 必要とするスキルがあって一定のレベルに達している人の選定が難しい
- すぐ辞めてしまうんじゃないか?
スキルある中途を雇うならそれなりの高待遇を用意しないと来てくれないでしょうね。
特にこのIT人材が不足していると言われるご時世では。
面接に来てくれたとしても、技術に詳しい人間がいなければその人のスキルが高いか低いかを判断できません。
知識の無い部長・課長さん達だけで判断するのはNGです。
すぐ辞めてしまうかどうかは人の問題もありますが待遇だったり会社としての将来性や働きやすさが重要視されますので、そこを改善できるかどうかにかかっています。
外部要員
- 受け身だと技術が根付きにくい
- 一時的な人員だと技術が残らない
立ち上げる際に経験のある人材は必要なので確保したいです。
しかし、その人に頼るようなチームになってしまうといなくなった時に破綻するか、非常に大変な事になります。
あくまでもフォロワー程度の役割に留め、あまり頼りにしたり存在を前提にしないようにする気をつけたいです。
人材に求める要素
- 自主性
- やる気・モチベーション
- 継続力・目標達成力
- スキル
チームの立ち上げという前提なので、新しい事をやる訳です。
1から10まで親切に教えてくれる人はいません。
外部からコンサルを受けたとしても、そこまで親切ではありません。
自分で調べて考えて行動できる必要があります。
スキルはチームとしてこれから身に付けていくものなので、ほとんどメンタルが重要になると思います。
現在所持しているスキルはそこまで重要では無いので自主性とやる気のある人材を集めます。
どのように教育したら技術が身に付くか?
セミナーに行かせるとか、最初に外注にアプリを開発させて解析すればいいと課長さんはおっしゃいますが、全員がセミナーに行くのは難しいし、その2つだけでは技術や開発プロセスを習得するのは無理だと思っています。
実際過去に似たような事やらせて技術が身についていないという負の実績があるので…
じゃあ経験のある人を呼んで教育してもらったり、コンサルしてもらってはどうか?
もちろんそういう人がいれば頼りになるでしょうし、必要な要素の一つではあります。
しかし、それでも受け身で教えられた事はなかなか身に付きませんし、頼り過ぎてその人がいなくなったら破綻するリスクもあります。
自分たちで成長するモデルを考えたいと思います。
基本的にエンジニアの技術力は主に以下のプロセスで向上します。
- 要求定義する
- 設計する
- コードを書く
- 他人のコードを読む
- コードを読まれる(レビュー)
- 議論する
- テストする
- エラー解析・対応する
それらをまとめて行えるのがプロダクトの開発です。
ええ、我々エンジニアは結局モノを作る事でしかレベルアップなんて出来ないのです。
教育、という言葉は適切では無いかもしれませんがチーム立ち上げに関してはベストだと思います。
なので自分達でテーマを決めて試作するか、顧客から仕事を受注して開発経験を積み上げるしか無いと思っています。
しかし、素人同然のレベルからいきなり市場に出るアプリを開発するのは非常にリスクが大きいです。
立ち上げから安定期までの過渡期をどうやって乗り越えるか?
というところを考えておく必要があります。
どのようなビジネスモデルで事業として成長させていくか?
新卒や中途、コンサルなどの人員を新たに投入すれば当然その分会社として経費が発生します。
そのメンバーで売上が無ければ会社として負債を背負う訳です。
技術構築の為の投資と割り切ってもいいかもしれませんが、しかし仕事が無いと人材を持て余すとか言われるんですよ。
それに対する私のアンサーとしては、
- 小規模のPoC案件で小銭を稼ぐ
- 社内の業務改善をテーマにしてアプリ開発を行う
という形で最低限の利益を確保しつつ技術力向上と開発プロセス策定を行う事です。
この小規模のPoC案件という点が非常に重要だと思っていて、顧客にヒアリングするとPoCをやりたいけど外注は非常に高いので中々できないという意見が多いんです。
そこで会社としての利益はほとんど削って数十万~100万円くらいの安価で対応する事で案件は取れると思います。
この時点で利益は出なくても、PoCを行う事で顧客から重要な情報をもらったりパイプを強化していく事は売上金よりももっと価値のある事ですし、市場リリースできる体制が整った時にその顧客から受注できる可能性が高まります。
小規模のPoCであれば仮に不具合等が発生しても大きな問題には繋がりにくく、リスクも最小限に抑えられます。
安定期に入ってからは請負開発で正式版として市場リリースする案件をこなし技術力を向上させて事業規模を拡大し、最終目標としては組み込み系のデバイスとセットの自社サービス・ソリューションとして販売する、という流れで事業の展望を描いています。
まとめ
人材の確保は
- 待遇を良くする
- 自主性とやる気のある人材集め
- スキルを持った外部要員によるフォロー
が重要です。
技術力向上や開発プロセス策定は
- 小規模の案件を多数取って少しずつレベルアップ
- 社内の業務改善をテーマに開発
を中心にいくつもプロダクトを開発し、開発プロセスをひたすら回しながら改善していきます。
そんなに上手く事は運ばないかもしれませんが細かいスパンでPDCAをかけて修正していけば組織は成長し、成熟すると信念を持って進めていきます。