LINE DEVELOPER DAY 2019の2日目です。
1日目はバックエンド寄りでしたが、2日目はフロントエンド寄りのセッションでした。
会場の雰囲気などは1日目に書いたので、ここでは印象に残ったセッションをかいつまんで書きます。
目次
つながろういつでも、何とでも。
LINE Thingsからはじまるモノと人との新しいコミュニケーション
LINEは、コミュニケーションアプリ「LINE」を通してBLE搭載デバイスとのコミュニケーションを可能にするIoTプラットフォーム「LINE Things」をリリースし、コーポレートミッションである「Closing the Distance」の実現を目指しています。
昨年発表されたLINE Thingsに、自動通信機能が追加されました。
より簡単に、より自然に、モトと人がつながることで、新しい価値が次々と生み出されています。
本セッションではそれらの活用事例を例に取りながら、より実践的な解説を行うとともに、自動通信の詳しい実装手法、そしてLINEのIoTプラットフォームならではの活用例をご紹介します。
スピーカーはLINEのテクニカルエバンジェリストの立花さんです。
テクニカルエバンジェリスト…?
LINE APIに困ったら相談する人だそうです。
主に得意なのは
- 技術サポート
- 企画サポート
- アライアンスサポート
- ビジネスサポート
です。
LINE ThingsはLIFF(LINEのトーク上で動作するWebアプリ)+BLEを活用したIoTプラットフォームで昨年11月スタートし、今年5月に自動通信機能がリリースされ一通りの機能が全てリリースされました。
この1年で1,800以上のプロダクトのトライアルが行われたそうです。
LINEはグローバルで1億6,400万MAU (Monthly Active Users)、国内で8,200万を誇る一大プラットフォームとなっており、非常に大きく魅力的な市場である事は間違いありません。
LINE Thingsは
- No Install…QRコードやURLから友達追加でOK
- No Signup…LINE IDがあればOK→Auto Login
- No Credit Card…LINE Pay APIがあればOK
- No Unreachable User…ちゃんと企業からユーザーにメッセージが届く
- No Useless Development…LINEを選べばその他のプラットフォームでの開発が不要
という特徴があり、開発者・ユーザー双方にとってメリットがあるプラットフォームとなっています。
この図のようにビジネスアカウント(Messagin API Chanel)、自分のシステム(LIFFアプリ、Bot)、LINEアプリ、LINE Things対応デバイス(BLE搭載)で構成されます。
LIFF上でBLEデバイスを操作できるのもそうなのですが、LINEアプリを起動していなくても、開発者が設計したシナリオでデバイスとバックグラウンド通信できる自動通信機能がキモの機能だと思っています。
ただし自動通信の振る舞いはOSに依存し、条件によって100%動作する訳ではない為、制約事項の把握が必要です。
なので自動通信を前提ではなく、補助的な位置付けとしたサービス・システム設計が必要になります。
今まで行われたPoCには
- ジュース購入
- 調理器具
- 未来ゴミ箱
- クイズブザー
- メガネと連携
など様々なものがあり、一部はブース展示も行われていました。
正式運用の際の料金プランは従量課金になり、開始~1年間は無料となります。
LIFFを使う事でWebサービスとの連携も容易となる為、BLEしか搭載しない製品でもLINE経由でインターネットに接続する事ができ、IoTデバイスとして振る舞う事ができます。
デバイスにWebサービスが加わる事でユーザーに新しい、素晴らしい体験を与えるプラットフォームになろうとしています。
LINEはLINEログインやLINE Payなどアカウント連携や支払いプラットフォームを持っている為、よりユーザーに寄り添った開発ができるのではないでしょうか。
私も組み込み屋としてLINE Thingsを活用した製品・サービスを企画していきたいと思います。
ショートトラック
本会場の外の小さなスペースで10分単位の短いセッションを行っていました。
LINEのDevRelが目指すエンジニア組織とは
スピーカー:佐藤祥子さん...入社3ヶ月。
LINEでは2500人以上のエンジニアが働いており、LINEの3つのエンジニアカルチャーを大事にしています。
- Take Ownership…当事者意識でユーザー視点での取り組む。仕様通り実装して終わりではない、この仕様でいいのか?と疑問を持ち、関係者と議論を持ちながら進める。
- Trust And Respect…レビューを通らないと本番環境に実装できない。厳しいけどそこには信頼と尊敬があるので率直に意見を交わして成長できる。
- Be Open…GitHubエンタープライズを利用。コードは全てオープンになっている。
DevRelはDeveloper Relationsの略で、自社製品やサービス、外部の開発者との良好な関係性を築く為のマーケティング施策の事です。
大きく分けて3つの活動を行っています。
- エバンジェリズム…LINEが公開するAPIやOSSの活用促進
- エンジニアが働きやすい環境作り、満足度向上
- 技術PR・ブランディング、採用活動
LINEはエンジニアのサポート体制が強く、エンジニア中心の満足度が高い組織作りをしています。
LINE DEVELOPER DAY 2019におけるIoT施策の裏側
さきほどの立花さんのセッションと一部かぶりますが、LINEはIoT施策としてBLEを用いたプラットフォームを築いています。
- LINE Beacon…片方向
- LINE Things…双方向
ブースにはBeacon、Thingsの展示がありました。(1日目の記事に記載)
Beaconはガチャやブースの投票、電波強度の可視化による人々の動きのトレースなどに利用されています。
デバイスのBLEチップはNordic nRF52(LINE Things Dev Board利用)を使用しています。
ブースで聞いた所、ESP32+Arduinoは開発が簡単・高速なので利用していますが、動きが少し怪しく上手く動かない事があるそうです。
ESP32+ESP-IDFならC言語でハードウェア周りも操作できるので不具合も解消できるかもしれない?
ガチャや投票に使われているチェックイン用のLINE Beacon(タッチ型)は一定以上の電波強度のビーコン受信で反応し、タッチするとLIFFで開く仕組みです。
※一般Developer向けには非公開の機能
それぞれ単品で使うだけではなく、ガチャ LINE Beaconタッチ+LINE ThingsやLINE Payなどとの組み合わせ可能で、色々なサービスと組み合わせる事で可能性は無限に広がります。
最新WebView用SDK「LIFF v2」で活用するLINEの機能
LIFFはLINE Front-end Frameworkの略です。
WebViewを活用する技術でLINEアプリ上でWebアプリを動作させる事ができ、LINEプラットフォーム上のユーザー情報や技術を統合・活用できます。
通常のWebアプリを開発するHTML/CSS/JavaScriptで開発できるのでWebエンジニアなら簡単に扱えます。
LINEアプリ上で動作するので別途アプリのインストールは不要です。
したがってOSアップデートの影響はLINEが吸収してくれます。
最新バージョンはv2.1となりAPIが追加されてさらに便利に、簡単に実装できるようになりました。
LINE Loginのスーパーセットになり、OAuthの知識が無くてもLINE LoginのAPIの裏側で色々やってくれるので簡単に実装できるようになりました。
たった数行のコードで認証・ログインを実装できるのは凄い!
また、LINEアプリ以外にも通常のブラウザで動作するようになりました。
LIFFのAPIは以下のプレイグラウンドで試せます。
明日から使える!
EM、チームリードのためのチームビルディングアクティビティ体験会
ハンズオンとなります。
チームビルディングのためにやったほうがよいこと、できることはたくさんあります。
今回はその中で「会話」と「相互理解」をテーマにし、比較的短時間で簡単にできるゲームやアクティビティをいくつか体験できる場を用意しました。
ゲームやアクティビティをやるきっかけをチームでどのように作ればよいか、のお話もしますので、ここで体験したことは明日からご自身のチームでお使いいただけると思います。
ぜひ奮ってご参加ください。
※エンジニアリングマネージャー、チームリード以外の方にご参加いただいても有用な内容になっていますので、遠慮なくご参加ください。
今回のハンズオンの3つの目的
チームビルディングを
- やる意味を知る
- 体験する
- チームで試せる/使えるようになる
事です。
なぜチームビルディングを行うのか?
ビジネスのチームにおいて、いくら仲が良くても成果が0では意味がありません。
チームの目的に対してより成果をあげられるようになる為にチームビルディングを行います。
チームとその成果については多くのモデルや研究があります。
- タックマンモデル (1965)
- チームの5つの機能不全モデル (2002)
- Google Project Aristotle (2012)
タックマンモデル
Q:チームがタックマンモデルのどの時期にいるか評価する方法はあるか?
→不明
チームの5つの機能不全モデル
Google Project Aristotle
いずれのモデルでも成果をあげるチームになる為にはメンバーの相互理解、信頼が基礎になっています。
人のコミュニケーションにおいて最も基本的な事であり、最も難しい事だと思います。
チームビルディングはこれらを作り上げ、高める為に行います。
チームでの相互理解のむずかしさ
どのようなチームに魅力を感じるか?
のようにアンケートを取ると、自由⇔統率など対立する項目に票が集まる事があります。
相互理解、信頼は一方通行ではありません。
- 自分自身の価値観や歴史、ネガティブに感じている事をチームに開示した事があるか?できる雰囲気か?
- マネージャー/メンバー間とメンバー/メンバー間では違う
理解したつもりでも、良いチームのイメージやキーワードは各メンバーで異なる場合があります。
そういった事がきっかけで誤解が発生すると衝突したり成果に影響を与える事になる為、まずは全員の価値観の共有が必要です。
チームビルディング手法
チームビルディングにも目的や手軽さなどが違う様々な種類の手法があります。
チーム毎に要件やハードルの高さが異なる場合があるのでそれぞれ自分たちのチームに合った手法を選択する事が大事です。
実施しやすいもの
- 食べ物系 チームでのランチ、お菓子、ディナー、飲み会など
- アセスメント系 質問に答えてタイプ診断をするものやスコアを出すもの
- 16 personalities
- ストレングスファインダー
- ゲーム系 楽しさが設計されていつつ、お互いのことを知るための仕掛けがある
- マシュマロ・チャレンジ
- wevox value game ←今回はこれを使います
- NASA Exercise
- …etc
めちゃくちゃたくさんあります!
以下の表を手法選びの参考にしてください。
とりあえず自己紹介(ウォーミングアップ)
まず4~5名で1チームを作り、メンバーで自己紹介をします。
- 自己紹介
- 名前
- 職種 など
- 今日のハンズオンに期待してる事
- 自分のチームの課題
- チームビルディングについて知りたい事 など
メンバーはみなさんチームリーダーやマネージャーで、マネジメントやチーム作りの課題解決を求めて今回のハンズオンに参加されているようです。
wevox values cardを使ったチームビルディング体験
今回チームビルディング体験に使うのはこれ!
wevoxは"ウィーボックス"と読むそうです。
wevoxは株式会社アトラエが運営するエンゲージメントによる組織改善サービスで、このvalues cardもその一環で販売されています。
今回のルールは以下です。
- 仕事でこれから大事にしたいと思っている価値観を基準にする
- 5枚の価値観のカードを手札にし、山から順に引いていって上記から遠い価値観のカードを捨てていく
- 途中で自分や他の人が捨てたカードを手札に加える事も可能
- 価値観を拾う/捨てる際にメンバー同士で質問したり会話すると相互理解が深まる
- 時間制限/カードの山札が無くなったら最後に残った価値観を説明する
これらの過程を経る事でメンバーの価値観を知る事ができ、相互理解・信頼関係を深める事につながります。
ゲームを体験してみて
まず、メンバー全員がバラバラな価値観を持っていて面白かったです!
「健康」など大事そうな価値観を捨てたり、他の人が捨てたカードを拾ったり、ある人は楽天的なタイプだったりある人はロジックに従うクールな統率タイプだったり…
メンバーに最後に残ったのはこんな感じの価値観でした。
もちろん捨てている価値観にも捨てたくない、大事な物もあるのですが、取捨選択して残った5枚で真に大事にしている価値観に気付けますし、この過程で生まれる他者の価値観に触れる会話というのが相互理解で最も重要なポイントになります。
チームのメンバーの価値観を無理に揃える必要は無く、どんな価値観を持っているか、どんな背景でそれに至ったかなどを知る事そのものが大事です。
そしてそれを否定せず、修正せず、ただただ受け入れる。
これは別にビジネスにおけるチームだけでなく、普段の他者とのコミュニケーションで最も大事にしなければいけない事だと思います。
このゲームのチームビルディング以外の使い方として、夫婦間で行った例が紹介されていたのが面白かったです。
夫婦間での価値観がうまく共有できれば長く幸せな過程を築けそうですが、下手をするとヒビが入るかも…?
使い方によっては諸刃の剣かもしれませんね笑
ゲームの振り返り
各チームFUN/DONE/LEARNを書き、付箋を貼っていきます。
貼り終わったら各チームの内容をお互いに見てシェアしたり話したりします。
チームにおけるマネジメントとは何か?
講師の鎌田さんの考えは
- メンバーの関係性はフラット
- チームが必要な事を考え・実行する
- エンジニア力≠マネジメント力
- 会社・チーム毎にマネジメントに求められているものは違う
ですが、正解は無いのでマネージャーが自分自身の言葉でマネジメントを再定義する事が必要です。
私も上記の感覚に近く、特に上記2つの項目が重要だと思います。
ただ、私はメンバー全員がマネジメントを考えて動ければマネージャーという役職は不要という考えです。
そもそも会社の管理職がちゃんとしたマネジメントをしていないからそういう感覚になってしまうのかもしれませんが…
チームビルディングのタイミング
チーム結成時がベストですが、後からやっても良し。
イベント駆動
- 新しい人が入ったり組織変更があった時
- 機能リリースなどの小さなイベント
- プロジェクトのキックオフなどの大きなイベント
チームビルディングを明日からやると言えるか?
言ったらどんな反応があると思いますか?
ディスカッションしましたが、今回集まったメンバーは基本No寄りだろう…
という答えでだいたい固まっていました。
ハードルはいくつもあります。
- 時間がない
- やる意味ある?
- 通常業務こなせ
基本的にあまり前向きじゃなく非協力的な人が多いですよね(苦笑)
これらを乗り越える為には
- 実施コストを低くする
- ミーティングの最初に実施
- 少人数で実施
- 組織の正式なイベント化
- 社外の人に参加してもらう
- 社外のリソース(セミナーや今回のハンズオン資料など)を使う
などの工夫が必要です。
まずはスモールスタートで成功例を作りましょう!
まとめ
2日間とも非常に良かったです!
抽選が無くなった事で参加者も増えており、展示ブースではスタッフとの熱い会話が交わされ、各セッションは満席で会場全体が賑わっていて良い雰囲気でした。
特に今年はハンズオンセミナーで他社のエンジニアの方と交流する機会があり、知識や技術、価値観について触れる事が出来たのは非常に刺激的な体験で今年も参加した甲斐がありました。
参加レポートは多くの方が詳しく書かれているので内容について知る事はできますが、できればカンファレンスに参加して色々な体験をして、現場の熱を感じて欲しいと思います。
音楽で例えるならネットのレポートはCD音源で、カンファレンスはLIVEです。
LIVEは感動します。
もしかしたら人生が変わるかもしれません。
昨年の発表ではエンジニアが2100人で3000人が目標という事でしたが、今年の発表では2500人まで増えていて順調に推移しています。
これはLINEのエンジニアカルチャーが根付いている事と、エンジニアの満足度を高める組織づくりが上手く行っている証拠でしょう。
ヤフーとの経営統合もあったり、今後ますますLINEは大きく成長していくと思います。
また来年のLINE DEVELOPER DAY を楽しみにしています!
今年参加出来なかった方はぜひ参加してください!