優秀なエンジニア採用について考える - セミナーのまとめ -
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前の記事でアプリ開発チームに必要な人材について考えましたが、求人を出しても人材が集まらないと人事からの報告もあり、優秀なエンジニアを採用する際のポイントや求人の仕方などについてセミナーを受けてきました。

主に以下の項目についてまとめます。

  • エンジニアの採用市場の動向
  • エンジニアが働く環境を選ぶ基準
  • 優秀なエンジニア採用のポイント

目次

エンジニアの採用市場の動向

高齢化・人口減少に伴い有効求人倍率は上昇し続けており、労働者の確保は企業の最重要項目です。

以下は厚生労働省のハローワークにおける一般職業紹介状況で、1.6倍の有効求人倍率となっています。

こちらはdodaの転職求人倍率レポート(2019年11月)です。

業種別のIT・通信業の求人倍率は6.5倍以上で、職種別で技術系(IT・通信)の求人倍率は8倍以上と群を抜いて圧倒的に高くなっており、増加傾向が見られる事がわかります。

少々倍率の上昇率もIT・通信が高い事がわかります。

業種求人倍率前月比前年同月比
全体2.81↑  0.29↑  0.02
IT・通信7.85↑  0.80↑  0.40
メディア2.03↑  0.16↓  -0.66
金融2.06↑  0.25↑  0.20
メディカル2.53↑  0.16↑  0.25
メーカー2.1↑  0.15↓  -0.26
商社・流通1.26↑  0.11↑  0.12
小売・外食1.05↑  0.14↑  0.08
サービス3.22↑  0.38↑  0.13
その他1.34↑  0.14↓  -0.33

弊社でも新卒内定者の内定辞退やサイレント辞退(バックレ)により計画している人数の確保が難しくなっています。

こういう状況の中、優秀な人材やスキルを持ったエンジニアの確保はさらに難しくなっています。

 

今までは求人を出せばそれなりに人材が集まっていましたが、これからは企業が欲しい人材に対して採用手段を主体的に考え、能動的・積極的に人材をスカウトしにいかなければいけません。

このような経営者や事業責任者、人事・採用担当者が欲しい人材に対して直接アプローチする手法をダイレクトリクルーティング(ダイレクトソーシング)と言い、今までとは人材確保の方法を変える事が求められています。

ダイレクトリクルーティングの手段として、

  • 交流会
  • 人材データベース
  • 社員紹介
  • 人材紹介・転職サイト
  • 自社HP
  • SNS

などがあります。

しかし、ただ上記のようなツールを使えば優秀な人材を獲得できる訳ではありません。

エンジニアが働く環境を選ぶ基準 (重要視する事)

基本的には獲得したい人材候補者の理解が必要となります。

エンジニアという職種は比較的こだわりが強い人が多く、特に優秀なスキルを持っているとさらにその傾向が強くなるという特徴があります。(偏見)

私自身もエンジニアですし、周りの優秀な方を見ているとやはりそういう傾向があるように思えます。(偏見)

エンジニアが重要視する事

  • エンジニアがきちんと評価される組織か
    • 旧来の人事制度に無理やりエンジニアを当てはめる(年功序列、スキルの対価が無いなど)と満足度が低くなる(特に日本)
    • 明瞭な評価制度
    • 頑張りがちゃんと評価されるかスキルアップできるか (新技術、言語)
  • 経営陣にエンジニア出身者がいるかどうか
  • スキルアップ支援の満足度が高いか
    • 勉強会(社内外のセミナー)の実施・支援が多いか
    • 支援の制度が求められている水準以下、ズレていないか(新入社員向けのセミナーしかやらないなど)
  • 一緒に働きたいと思える優秀なエンジニアがいるか
  • リッチな開発環境を整えるなどエンジニアに投資してくれる風土があるか
    • iMac Proなど高性能のPCやリッチな周辺機器(キーボード、マウス、椅子など)を支給など
    • JetBrainのIDEやGitHubの有料版など開発ツール導入など
  • 開発するプロダクト・サービス開発言語 (何をどのように?)
    • エンジニアのスキル種類は幅が広い (各国料理と同様、種類が変われば別物)
    • 自分のスキルが企業の要望とマッチするかを知りたい
    • 求人票に明記する事が必要

主に待遇スキル・キャリアアップスキルマッチングを気にします。

他の職種でも優秀な人材はみんなそうだと思いますが、これらの条件のうちどれかが欠けているとせっかく採用した人材がすぐ転職してしまう、という事が考えられます。

待遇

薄給で自由が無く、頑張っても評価されない…

そんな待遇で働きたい人はエンジニアでなくてもいませんよね笑

また、自身の成長につながらないと将来が不安になる為、スキルアップの支援が必要です。

LINEなど成長している企業はそういったエンジニアを大事する組織づくりがしっかりしています。

スキルマッチング

特にスキルのマッチングについて注意しないと採用する企業にとってもデメリットが発生します。

開発環境・言語が違うというのは料理でいうと日本料理と中国料理のように全く別の技術になってしまいます。

私は組み込み系と言って電子基板に搭載するマイコン(CPU)のソフトを開発するのがメインですが、これは電子回路(ハードウェア)の知識を必要とし、PCだけで開発できるアプリやWeb系とは全く異なるスキルが必要です。

開発言語もCかC++もしくはアセンブラを使う必要があったり、数千ページあるマイコンのマニュアルを読み込んだりと難易度が高めです。

…このように必要とする人材像と所持スキルを明確にしておく必要があります。

リッチな開発環境

これもかなり重要視します。

弊社は以前はCPU:Core i3、メモリ4GB、HDDのノートPCが標準機でしたが、ビルド時間があまりにも長くてイライラの限界に達した為、開発と情シスの部長を説得してCore i7、メモリ16GB、NVMe SSDのデスクトップPCを標準機に変更させました。

ディスプレイも4Kの27インチディスプレイ×2枚で快適に開発できます。

また、GitHubなど有償の開発ツールも導入しました。

単純な開発効率だけでなく、エンジニアのモチベーションを高める為に必要です。

優秀なエンジニア採用のポイント

口説きの面談

  • 最初から転職のオファーをするのではなく、まずは情報交換の為の面談をという形でざっくばらんに話す
  • 潜在的な転職層にはフランクな接点を持つ
  • 志望動機が無い人に対してオファーを出す為には企業とエンジニア、お互いの理解が必要
  • 自社の働きやすさを魅力として訴求
  • 最初は面談で人事が魅力付け、丁寧なフォローとスピード対応をする

求人に集まらない優秀なエンジニアを採用したい場合、相互理解と信頼が重要になってきます。

まずは情報交換という形でお互いに求めているものを認識する事が必要です。

また、自社がどれだけ魅力ある会社かを伝える事が必須です。

その為には既存のエンジニア・組織に対して働きやすい環境を作っておく事が重要です。

現場との連携

  • 人事や管理者だけでなく、採用部門のリーダーの協力が必要
  • 人事は事務局として、進捗管理や候補者のフォローを徹底
  • 現場エンジニアがスカウトを送信する事で幅広いターゲットへアプローチ

スキルマッチングの為にも絶対に必要な要素です。

技術について理解が無い人事・管理者(※)が主導で面談を行うと前項で挙げたエンジニアとの相互理解・信頼関係の構築ができません。

必ず知識がある現場の技術者の協力が必要です。

※もちろん管理者の方が深い知識を持っている場合は管理者の方主導で構いません。

経営陣主導

  • CTO等幹部候補のエンジニアを採用する場合は経営陣からビジョン等をみせて直接オファーする
  • 一次面談は社長・役員が対応
  • 二次以降も合うと思った社長・役員が面談のスタンスで口説く

企業の中でも高い地位でレベルの高い職務経歴が必要な場合は経営陣が直接面談などを行う事が効果があります。

これらに一貫するのは口説くという点です。

異性を口説く時と同じように、丁寧に相手を尊重しながら相互理解・信頼関係を構築する事を意識します。

ダイレクトマーケティングの為の手法

日本ではまだ浸透していない手法として、

  • 社員紹介
  • SNS
  • 人材データベース

などがあります。

ツイッターではたまに転職希望のツイートを見ますが、企業から行っているパターンはあまり見たことはありません。

しかしそのまま転職が決まる事もあるようで、少しずつ流行るのではないでしょうか。

社員紹介もそれほど多く無いように思えます。

 

上記の手法はある程度規模が大きい企業だと信頼性などもあり、難色を示される場合が多いと思います。(ゆえに流行らない?)

費用はかかるかもしれませんが、ビズリーチやdodaなど、企業が運営している人材データベースを活用するのが効率や質などの面で良いと思います。

まとめ

優秀なエンジニアを採用するには…

  • 待遇を良くする
  • 働く環境を良くする
  • 相互理解・信頼関係の構築に努める
  • 現場のエンジニアの協力
  • 人材データベース企業を活用する

が必要です。

特に上2つの項目はすぐ始められる事ですし、既存のエンジニアのモチベーションを上げるにも必要な施策です。

隗より始めよ()という故事もある事ですし、まずは自社の良い環境作りから始めましょう。

※隗より始めよ

中国の戦国時代に郭隗という側近が王に有能な人材を集めるにはどうすれば良いか聞いた所、

「まず凡庸な私を厚遇してください。そうすれば優秀な人材が勝手に集まってきます。」

と答えたという話。

うーん、まさにその通りの話ですね!

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