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超高速WordPress仮想マシン「KUSANAGI」とは
超高速WordPress仮想マシン「KUSANAGI」は、プライム・ストラテジー株式会社が開発・構成する、WordPressを高速に動作させるための仮想マシンおよびそのイメージです。
OS、サーバーソフト、WordPressがワンパッケージになったものと思えばいいでしょうか。
WordPressが高速で動作するようにそれぞれチューニングが施されており、通常のWordPress環境と比較して10倍以上高速になると言われています。
KUSANAGIのWordPressの速さをわかりやすく解説してみた - テックブログ -
高速化のメリット
WordPressを高速化する事によって以下のようなメリットがあります。
- 表示速度が速いのでユーザーのストレスが軽減される
- 記事を編集したりWordPressの操作が速くなるので運営者の作業速度が向上され、ストレスも軽減される
- SEOに影響する (遅いサイトは検索エンジンの順位が下がりやすいらしいです)
KUSANAGIのデメリット
速ければいいに越したことは無いと思いますが、KUSANAGIを動かす為にはある程度サーバーのスペック(メモリ4GB以上推奨)が必要です。
無料スペックでは動かせない為、個人の趣味やお試しで細々とやりたい・絶対に費用はかけたくないという方には向きません。
しかし、将来的に収益化を考えているようであれば技術力が無くても高速化できるKUSANAGIは必須と言っても過言では無いと思います。
費用と対応クラウド
公式にKUSANAGIに対応しているクラウドはAWS、Azure、GCPなど複数ありますが、KUSANAGI自身はオープンソースライセンスで提供されており、無償で利用できます。
ユーザーが払うのはKUSANAGIを動かすサーバー費用だけです。
KUSANAGI対応パブリッククラウド一覧 - 公式サイト -
このブログもGCPのKUSANAGIで運営しています。
公式に初期設定マニュアルはあるのですが手順が違う等、そのままだと少し分かりにくかったところもあるので説明していきたいと思います。
GCPでKUSANAGIを起動
2018/7/30追記
いつの間にかCloud Launcher→Marcketplaceに名称変更されていました!
ここは公式にある説明そのままで問題無く進めます。
というかGCPのCloud Launcher Marcketplaceはとても簡単です。
左上のナビゲーションメニューからCloud Launcher Marcketplaceを開いて検索バーにkusanagiと入れて検索すればすぐ出てきます。
スペックにこだわりが無ければデフォルトのままか、公式の画像にあるようにvCPU×2、メモリ4GBにしておくとよいでしょう。
自分はとりあえずデフォルトスペック(vCPU×1、メモリ3.75GB)で構築しました。
KUSANAGIの初期設定
起動が完了したらその画面のSSHボタンを押すか、Compute EngineのVMインスタンスからSSH接続してコンソール(黒い窓)を開きましょう。
公式サイトを参考に補足しながら進めます。
とりあえず以下のコマンドを入力して管理者に切り替えます。
sudo su cd /root/
システムアップデート
OSやKUSANAGIシステムのアップデートを以下のコマンドで行います。
yum --enablerepo=remi,remi-php56 update -y
少々時間がかかります。
完了したら以下のコマンドを入力して再起動します。
ナビゲーションメニューからCompute EngineのVMインスタンスのページから停止→起動してもよいです。
reboot
再接続ボタンを押します。
ここからが大変です。
初期設定開始
再起動したので再度管理者に切り替えましょう。
sudo su cd /root/
初期化のコマンドをオプション無しで入力すると対話形式で自動で順番に進んでいきます。
kusanagi init
しばらくお待ちください...
サーバのタイムゾーン設定
最初はタイムゾーンの設定です。
地域/国名が列挙されるのでキーボードの上下左右でAsia/Tokyoを選択し、エンターを押しましょう。
左右キーでページ切り替え、上下キーは1項目ずつの移動ができます。
言語、キーボードレイアウトの設定
使用する言語を選択します。
日本語の場合は2を入力してエンターを押します。
続けてキーボードレイアウトの設定です。
同様に日本語の場合は2を入力します。
ユーザーパスワードの設定
KUSANAGIのユーザーパスワードを設定します。
短かったり簡単な単語を使って推測されやすいパスワードだとBAD PASSWORDと表示されますが、設定できないわけではありません。
Retype new password:
と表示されるので同じパスワードを入力すればOKです。
※パスワードを入力しても表示されません。
SSHの鍵認証の設定
SSH認証用のパスワードを設定します。
5文字以上必要です。
何も入力しないでエンターを押すとパスワードは空になりますが、セキュリティを考えるならパスワードは設定しておきましょう。
これもユーザーパスワード設定時と同様に2回同じパスワードの入力が必要です。
また、パスワードは表示されません。
Webサーバーの設定
Webサーバーのソフトを選択します。
こだわりが無ければデフォルトのNginxで問題ありません。
Nginxは同時アクセスの処理に特化していて軽くて速いです。
そのままエンターを押せばデフォルトで設定されます。
(1を入力してエンターでもOK)
アプリケーションサーバーの設定
アプリケーションサーバーもデフォルトのHHVMで問題ありません。
そのままエンターを押しましょう。
※場合によってはPHP7の方が速い可能性もあるとの事ですが、こだわる必要は無いと思います。
2020/04/07 修正
HHVMがデフォルトとなっていますがWordPressはHHVMを公式にサポートしておらず、PHP7は非常に高速化されている為、PHP7を選択しましょう。
Rubyの設定
Rubyのバージョン選択を行います。
選択肢が無いのでそのままエンターを押します。
データベースの設定
同様にこだわりが無ければデフォルトのMariaDBでOKです。
そのままエンターを押しましょう。
続いてMySQLのパスワード設定です。
アルファベット大文字小文字、数字、「.!#%+_-」のいずれかで構成される 8文字以上の文字列を設定してください。
これも同じパスワードを2回入力します。
初期化完了
これで初期設定は一通り完了です。
もし今までの各種初期設定を個別に行いたい場合はinitの後に半角スペースを入れてオプションをつけましょう。
例) kusanagi init --lang ja
プロビジョニング
続いてプロビジョニング(WordPressの作業フォルダ、DNS、SSL証明書、データベース名設定等)をしていきます。
これも各項目毎に設定できますが、最初は以下のコマンドを入力して全部順番に設定していきます。
kusanagi provision 【任意のプロファイル名】
【任意のプロファイル名】の部分は大小半角英数字と一部の記号(a~z、A~Z、0~9、._-)で3~24文字で命名します。
すると/home/kusanagi/【任意のプロファイル名】/というディレクトリが作成され、この中にドキュメントルートが作成されます。WordPressのインストールに必要なデータが格納されます。
公式の例のようにkusanagi_htmlでしておけばよいと思います。
kusanagi provision kusanagi_html
WordPressのインストール言語
プロビジョニングを開始すると最初にWordPressをインストールする時の言語を聞かれます。
2を入力して日本語を選択しましょう。
ホスト名(ドメイン)の設定
次にホスト名を設定します。
ドメイン名を入力してください。
※ドメインが無ければKUSANAGIが動いているVMインスタンスのグローバルIPアドレスを設定してもよいですが、基本的にサイトを公開する場合はドメインを用意してください。
ちなみにFQDNは省略しないドメイン名の書き方なのでwwwも付けますが、先頭のhttp://や末尾の/は不要です。
2回聞かれるので同じ名前を入力します。
SSL証明書の設定
SSL証明書を発行する為にメールアドレスが必要です。
他のサービスでSSL証明書を発行しないのであれば素直にメールアドレスを入力しましょう。
これも確認の為に2回入力が必要です。
データベース名の設定
データベース名の設定です。
任意の名前をつけましょう。
特に決まらなければ適当にkusanagiDB等でも。
これも2回入力が必要です。
※ここで設定したデータベース名は後ほどWordPressのインストール設定の際に使用します。
忘れないよう控えておいて下さい。
データベースのユーザー名とパスワードの設定
続いてデータベースにアクセスする為のユーザー名とパスワードを入力します。
パスワードはa~z、A~Z、0~9、.!#%+_-の記号で8文字以上です。
どちらも2回入力する必要があります。
※この情報も後ほど使います。
控えておいてください。
これでプロビジョニングは完了です!
疲れてきたかもしれませんが、もう少しあります。
最後にWordPressのインストールを行います。
※コンソールは後から使うのでまだ閉じないでください。
WordPressのインストール
プロビジョニングで設定したホスト名(ドメイン or IPアドレス)をブラウザのURLバーに入力してWordPressにアクセスします。
データベース情報の入力
データベース名、ユーザー名、パスワードはプロビジョニングの最後に設定したものを入力して送信を押します。
そのままインストール実行を押します。
サイト情報の入力
サイトの基本情報、管理者のログインユーザー情報等を入力し、インストールします。
無事成功したらログインしましょう。
上で決めたユーザー名とパスワードでログインします。
ダッシュボードが表示されればインストールは完了です!
セキュリティ状況の改善
このままでも動きとしては問題ありませんが、セキュリティ状況で赤く表示されている内容があります。
これを緑にしてセキュリティを改善しましょう。
上から順番に対応していきます。
コンソールに戻って以下のコマンドを入力し、wp-config.phpの場所に移動します。
cd /home/kusanagi/<KUSANAGIのプロビジョニング時の最初に決めたプロファイル名>/DocumentRoot/ 例) cd /home/kusanagi/kusanagi_html/DocumentRoot/
lsと入力すると現在いるフォルダにあるフォルダ(緑色背景)とファイル名が一覧で表示されます。
ちなみにpwdと入力すると現在フォルダまでのパスが表示されます。
次のコマンドでwp-config.phpを移動させます。mvはフォルダ/ファイルの移動コマンドで、../は1つ上の階層を意味します。
wp-config.phpはDocumentRootフォルダ内にあるので、1つ上に移動すればOKです。
mv wp-config.php ../
実際に移動してlsコマンドで確認しましょう。wp-config.phpが移動しているのがわかります。
cd ../ ls
ブラウザを更新するとセキュリティ状況が1つ緑に改善されています。
次はwp-config.phpの権限と所有者を変更します。
以下のコマンドを入力してください。
chmod 440 wp-config.php <span>chown kusanagi.www wp-config.php</span>
2つの項目が改善されます。
最後に、wp-contentフォルダの権限を変更します。
以下のコマンドで再度DocumentRootフォルダの中に移動して、権限を変更します。
cd DocumentRoot/ chmod 755 wp-content/
全てのセキュリティ状況が改善されました!
キャッシュの有効化
KUSANAGIには2つのキャッシュがあり、これを有効化する事で高速化できます。
現在のキャッシュステータスを見るには以下のコマンドを入力します。
kusanagi status
以下のコマンドを入力してキャッシュをONにします。
kusanagi bcache on kusanagi fcache on
再度kusanagi statusで確認すると両方ともONになっています。
これで基本的な設定は全て完了です。
後はWordPress自身の更新やプラグインのインストール、テーマのインストール・カスタマイズ等を行って自分の好きなようにサイトを作り込んでいきましょう!